December 24, 2018

メリノーウールはすべて同じではない

ここ最近メリノウール素材のソックスやベースレイヤーが数多く発売されていますが 、直接肌に触れるものなので、天然素材のウールは(特に寒いシーズンは)おすすめです。

保温性・吸湿性・伸縮性・防臭・抗菌などを兼ね備えたウールは機能的でカラダに優しい素材ですが、残念ながら世の中で販売されているリノウールはすべて同じではありません」
原料となるメリノウール自体はそれほど違いはありませんが
「加工方法によって性能や機能に違いがある」ということです。

加工方法の違いとはどういうことなのかを説明していきます。

【天然のウールとは】
まず下の写真1は何も加工をしていない状態のウール糸の拡大写真です。
表面にウロコ状の殻が覆っています。この殻はスケールと呼ばれているもので、先端がギザギザで角が立っており、スケール自体は鋼鉄に匹敵する硬さあります。
伝統的な製法で作られているシェトランドセーターがチクチクするのはそのためです。


写真1:加工していない状態のウール糸
WOOL-1

しかしながら、ウールの特徴的な機能はこのスケールが重要な役割を果たしているのです。
スケールがあることで粒子の大きな水滴を弾きながら、粒子の小さな水蒸気(汗)をウール内に吸湿して発熱する機能を持っています。汗の戻りが少ないため汗冷えを抑えることができます。
これがウールの最大の特徴である水分調整(モイスチャーコントロール)機能と体温調整機能です。

とはいえ、ウールには非常にやっかいなデメリットがあります。
スケールによって肌触りがチクチクすることと、洗うと縮んでしまうということです。
カシミヤのような極細のウール糸であれば肌触りは良くなりますが、強度が弱く高価なためアウトドアアクティビティで使用するのは現実的ではありません。

【防縮加工とは?】
ウールのデメリットである肌触りと洗濯した際の縮みという問題を解決するために考え出されたのが「防縮加工」という方法です。
一般的な防縮加工は塩素漂白でスケールをすべて取り除き、洗っても縮まないように表面を樹脂でコーティングしてしまします(下の写真2)。
確かにデメリットは解消されますが、スケールが無くなることによりウール本来の水分調整と体温調整機能も損なわれてしまいます。
残念なことに市場に出回っている多くの製品は一般的な防縮加工が施されたものになっています。

写真2:一般的な防縮加工を施したウール糸
WOOL-2

【半防縮加工とは?】
そこで考えられたのが「半防縮加工」という方法です。
ウール本来の機能を保ちながらチクチク感や洗った後の縮みを最小限にするという加工方法です(写真3)。
写真3をご覧ください。スケールは残ったままですが、写真1と比較するとギザギザになっていた鋭利な先端部分が滑らかになっているのがわかると思います。スケールの先端が滑らかになり、チクチク感はほぼ解消されます。
しかしスケールが残っているために、未加工のものほどではありませんが縮みは発生してしまします。


写真3:半防縮加工を施したウール糸
WOOL-3


【シリコンパウダリング加工】
P.RHYTHMのメリノサポートソックスには半防縮加工を施したウール糸を使用していますが、縮みを最小限に抑えるために、ナノサイズのシリコンパウダーを塗布しています。
シリコンパウダーがスケールの僅かな隙間に入り込み、縮みを最小限に食い止めます。

写真4〜6は今シーズンモデルのソックスを新品の状態と1回洗濯したものを比較した画像です。
総丈と足裏長ともに1cmほど縮んでいますが、極端にサイズが小さくなるほどではありません。


写真4:左が未洗濯 / 右が1回洗濯後
PRM-19706_01

写真5:下が未洗濯 / 上が1回洗濯後
PRM-19706_03

写真6:下が未洗濯 / 上が1回洗濯後
PRM-19706_04

【ナイロン撚糸】
メリノウールをソックスに使用した場合、メリノウールだけでは強度が足りないためナイロン糸を巻きつけるように撚糸しています。ナイロン糸を撚糸したメリノウールは他にもありますが、P.RHYTHMのソックスに使用している糸には通常の2〜3倍のナイロンを撚糸しています。
さらに表面には毛玉ができにくい抗ピリング加工が施されており、メリノウールにもかかわらず高い強度と耐久性をも兼ね備えています。


【抗菌防臭効果】
ウール本来の機能としては抗菌防臭効果があげられます。
化繊に科学的な方法で消臭機能を付け加えた製品もありますが、永遠に効果が続くわけではなく効果には限りがあります。ウールは特殊な加工を加えることなく、製品が寿命を迎えるまで消臭効果が持続します。
また消臭効果も、最も匂いが消えないとされているアンモニアテストで消臭率98%という結果が出ており、洗濯を繰り返しても消臭効果は変わりません。
余談ですが、P.RHYTHMのメンバーは2〜3日のトリップでは1足のソックスを履きっぱなしで過ごします。

【国内生産】
P.RHYTHMのソックスにはその他にも段階着圧、アーチサポート、Yヒール、クッションソール、くるぶしラウンドカットなど、多くの機能が盛り込まれています。
メリノウールの原糸は海外から輸入していますが、糸の選別、撚糸、染色、加工、生産は国内で行っています。
最終的な製造(編み上げ)からパッケージングは岐阜県の蠹賤料^櫃嚢圓辰討い泙后
このエリアは古くからウールの産地として有名で、加工・撚糸技術・品質の高さで世界中の有名ブランドからも引き合いがあるほどです。
P.RHYTHMが採用している「半防縮加工+ナイロン撚糸+シリコンパウダリング加工」のメリノウールは、東洋繊維さんが独自に開発したウール糸であり、他のスポーツブランドではほとんど使用していない素材です。

注)P.RHYTHM メリノサポートをソックスを使用する際は、使用する前に一度洗濯されることをおすすめします。新品の状態ではウールの油分が若干残っているため、表面にヌメリ感があります。
洗濯することでヌメリ感が無くなり、網目が詰まってフィット感が良くなります。

写真7:東洋繊維の工場内
Socks-Factory-1

写真8:P.RHYTHM メリノサポートソックスを編み上げている機械
Socks-Factory-2

写真9:古い機械にしか出せない風合いもあり、職人さんが調整しながら使い続けています。
Socks-Factory-3

写真10:膨大な種類・カラーの糸や資材が整然と管理されている。
Socks-Factory-4


ウールのことを長々説明してきましたが、メリノウールという原糸は同じでも、加工方法や組み合わせる素材によって機能や性質は違ったものになってしまうということです。

P.RHYTHMのメリノウールソックスは09/10シーズンから生産をスタートして今年が10年目になりますが、その間に生産業者と協力して素材の改良を重ねてきました。
それでもP.RHYTHMのメリノウールが最高というわけではありません。
他にはもっと良いウールを使用している製品があるかもしれません。

たかがソックスではありますが、せっかく購入するなら是非良いものを選んでいただきたいと思います。


[18/19 P.RHYTHM MERINO SUPPORT SOCKS ]
Style No. PRM-19706
Color:BROWN, INK, ARMY
Size:S(22-24), M(24-26), L(26-28)
Merino Wool 58% / Nylon 36% / Polyester 5% / Poryurethane 1%

PRM-19706_05
※ウェブストアからもご購入いただけます → https://prhythm-store.net/


gakumklog at 19:06│ Share on Tumblr Clip to Evernote Products