November 12, 2018

Manufacturing Process of P.RHYTHM 18/19


長らくお待たせしていましたが、18/19ニューモデルがようやく来週からデリバリを開始します。
今シーズンのアウターウェアはベトナムで生産を行っていますが、先日工場に製品の進行状況と出来上がりの確認に行ってきましたので、レポートを兼ねて18/19モデルの改良したところをご紹介します。

POLARTECR NeoShellR(ネオシェル)をアウターウェア全モデルに採用するということが18/19モデルのフォーカスポイントですが、実は18/19モデルの生産にあたって、2つの大きな課題に取り組みました。
と言っても見てすぐに分かるようなデザインなどではありません。

1つ目は “縫製方法の改善” と、2つ目は “シームテープ加工の改善” です。

まずひとつ目の “縫製方法” からご説明します。
P.RHYTHMのウェアは下の写真のように「縫い目が表に出ない」縫製方法をできる限り採用しています(縫い目が見える通常の縫製をしている箇所もあります)。
縫い目が正面に出ていると、生地が擦れたり、引っ掛けたときに糸がほつれてしまうため、ほつれる可能性が低いこの縫製方法を採用しています。
しかしながら、この縫製は一般的な生地を重ねて縫い合わせる縫製方法と比較すると強度が低いのが弱点です。
この縫製方法で強度を上げるためには、狭い範囲により多くの針穴をあけて、より多くの糸で生地を縫い合わせなければなりません。
実はこの「より針穴を多くする」という作業は技術的に非常に難しものになります。
ミシンのスピードを遅くして、なおかつ針穴が狭くなりすぎないように慎重に作業しなければならないからです。
さらにミシンのスピードを遅くするということは作業効率も悪くなり、工場にとっては生産性も落ちてしまうため、なかなか受け入れてもらうことができませんでした。


これまで数シーズンに渡って交渉してきた結果、今期モデルから針穴(専門用語では運針といいますが)を多くすることができました。
3cmの距離に対してたった2針多くなるだけですが、つくり手にとっては大きな進歩といえます。
ちなみにアウトドアのトップブランドはさらに3〜4針多く縫い合わせています。

01-Stitch

02-Sawing

03-Sawing

2つ目はシームテープ加工の改善です。

これまでP.RHYTHMの製品にはすべて2cm巾のテープを使用していました。
シームテープの巾はその他に15mm、12mm、一番細いのは8mmを採用しているアウトドアブランドがあります。
シームテープ加工をしている部分は耐水性と透湿性が落ちてしまうため、アウトドアの世界では細ければ細いほど良いとされています。その理由はメインファブリックに耐水圧と透湿性が高い生地を採用しているのに、シームテープの面積が大きいほど製品の性能を損なってしまうからです。
しかしながらシームテープを細くするためには、高い加工技術が必要です。
テープが細くなればなるほど、貼り付けつける作業は難しくなり、ミスも多くなるからです。
加工する機械は数値化されてはいますが、素材や気温・湿度、加工する際の圧力や時間など、技術と経験が必要な作業です。

P.RHYTHM 18/19モデルでは、できる限り15mmのテープを採用しています。
ただし強度が必要な箇所には20mmのテープを使用しています。


04-SeamTape

05-SeamTape

数年前から通常の縫製の他に、圧着加工をしている箇所が多くなっていますが、1箇所ごとに10秒前ほど熱と圧力をかけて接着し、その後10秒ほど冷やす必要があるため、縫製するよりもはるかに時間がかかってしまいます。
06-Laminate

下の写真はレーザーで生地を裁断する装置。
フードのコードストッパーに採用している Cohaesive のパーツを取り付ける生地をレーザーでくり抜いているところです。

07-LesarMacine

裁断されたパーツをチェックしているところ。
08-Cut

製品ができあがり、最後の検品を待っているところ。
検品が終わると下げ札を取り付け包装・梱包されていきます。

09-Inspection

工場内には耐水圧と漏水を測る装置も備えています。
11-WP-TestMacine

10-Line

工場の規模は大きくはありませんが、若いスタップが多く非常に勤勉で、良いものを作ろうとする意欲が溢れていたのが印象的でした。
作業風景をショートムービーにまとめましたので、ぜひ御覧ください。



18/19モデルは11月20日から11月27日頃に全国の取扱ディーラーに納品される予定です。

gakumklog at 01:55│ Products